2018年6月3日頃から海外大手取引所であるHitBTCにおいてサイトの日本語ができなくなっています。
以前は海外取引所であるにもかかわらず、日本語対応していて日本人にとっても使いやすい取引所として割と有名でした。
今回、HitBTCの日本語メニューが消えてしまった理由と、海外の仮想通貨取引所の危うさについて考えていきたいと思います。
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HitBTCが日本在住者の利用を禁止へ
6月初めからHitBTCの日本語メニューが消えてしまっている理由は、HitBTC側が日本在住者の利用を禁止したからです。
2018年5月までは、HitBTCのサイトを日本語設定に切り替えることができました。
このため、HitBTCは英語が苦手な方であっても使いやすい取引所として人気がありました。
また、日本人向けに行われていたICOのコインは最初の上場先としてHitBTCが選ばれることが多かったので、そういう意味でも、結構な数の日本人利用者が存在したと予想されます。
しかし、いま現在、HitBTCの日本語版ページ(https://hitbtc.com/ja_)にアクセスしてみると、以下のような表示に切り替わっています。
You are here because you typed a page address that does not exist or has been moved to a different address.
404エラーとして、「存在しないアドレスか、別のアドレスに移動されたアドレスを入力したため、このページは存在しません」といったニュアンスのメッセージが表示されます。
一応、HitBTC側としては「日本在住者の利用を“一時的に”停止する」というスタンスらしいのですが、「一時的」が果たして本当に「一時的」なのかどうかは誰にも分からない状況です。
ただし、HitBTCの公式発表(6月2日)によると、14日間の猶予期間を経たあとは日本からのアクセスができなくなるとのことです。
このため、HitBTCに仮想通貨を預けている場合は、早急にウォレットや別の取引所へ資産を移動する必要があります。
HitBTCが日本人の取引所利用を禁止した理由は“資金決済法”の影響がある
なぜ、HitBTCが日本からの利用を禁止したのかですが、これは日本の資金決済法が影響しているそうです。
日本の資金決済法では、仮想通貨の売買等を行う仮想通貨交換業者の登録制が導入されています。
つまり、日本の金融庁へ登録を行っている仮想通貨交換事業者(仮想通貨取引所)以外の営業は許可されていないのです。
現在、日本の金融庁から営業許可を受けている事業者は16社で、当然その中にHitBTCは含まれていません。
しかし、HitBTCはサイトに日本語のメニューを実装し、明らかに日本人に向けて取引所の利用を促していました。
この行為が「日本の金融庁の許可なく仮想通貨交換業の営業を行っている」とみなされてしまったのだと考えられます。
ここからは完全に私の予想ですが、日本の金融庁がHitBTC側に対して何らかの警告や抗議を行った影響で、今回、日本在住者の利用を一時的に停止する措置に至ったのだと思います。
少し前からHitBTCには少し怪しい空気もあったらしい・・・
ちなみに、これは人づてに聞いた話なので、どこまで真実かは分かりませんが、4~5月くらいからHitBTCの口座開設アフィリエイトに関して、不自然な感じで非承認を受けていた人もいたらしいです。
例えば、AさんがHitBTCのアフィリエイトリンクからBさんを紹介し、Bさんが口座開設を行ったのにもかかわらず、「報酬が承認されない!」といったことがあったみたいです。
もし、これが事実であるのならば、6月初旬に利用停止を告知する以前から日本人の登録や利用を徐々に制限していたのではないかとも考えられます。
その兆候が今回の件に繋がったのかどうかは分かりませんが、いきなり利用停止の決定をするというのも考えにくいので、やはり、4~5月くらいから日本の金融庁との間で何らかのやり取りがあったのではないでしょうか。
今年に入ってからBinance(バイナンス)も日本語が非対応に・・・
海外の仮想通貨取引所として、日本人の中で最も有名と言ってもいいBinance(バイナンス)に関しても、2018年に入ってから日本語が非対応に変更されています。
2018年3月22日に「バイナンスが日本の金融庁から警告を受けた」と日経新聞が報じたのは覚えている方も多いと思います。
当初、バイナンスのCEOはこの報道を否定していましたが、報道の翌日には金融庁のホームページでバイナンスに対して警告を行ったことが正式に公表されていました。
バイナンスは2017年末~2018年初め頃まで普通に日本語でサイトが利用できたそうですが、私が仮想通貨投資を始めた2018年2月中旬頃にはすでに日本語非対応となっていました。
どこかのWebサイトに掲載されていたバイナンスのCEOのインタビュー記事で読んだのですが、日本の金融庁から指摘を受けて、サイトの日本語表示をやめたそうです。
ですので、流れとしては「金融庁からの指摘」→「バイナンスの日本語非対応化」→「3月に金融庁の警告」という形です。
今回のHitBTCに関しても、日本在住者の利用停止が発表されてから1週間程度しか経過していないため、今後、日本の金融庁から何らかの発表があるのかもしれません。
HitBTCの日本語化は復活するのか?
ネット上では「HitBTCが日本語にならない!」、「HitBTCのサイトを日本語にできない!」、「HitBTCの日本語ページでエラーが出る!」といった感じで、少しパニックになっている方もいるようです。
確かに、英語が苦手な方などは、急に日本語表示が消えてしまったらパニックになりますよね。
ただ、残念ながら、私はHitBTCの日本語対応は復活しないと思っています。
なぜなら、バイナンスについても、日本語対応が消えてから今もずっと日本語表示はできなくなっているからです。(おそらく、日本語メニューが消えてからもう5ヶ月近くは経っています)
バイナンスやHitBTCといった海外の仮想通貨取引所が、正式に日本在住者(日本人)に向けて営業を行うには金融庁の許可を取る必要があります。
しかし、2018年1月のコインチェック事件の影響で、仮想通貨交換事業者の登録はかなり厳しくなっていると聞きます。(だから、Yahoo!は新規で事業者登録を行うのではなく、ビットアルゴ取引所東京を買収したわけです)
現状で、バイナンスやHitBTCが金融庁の届け出事業者に正式登録されるのは厳しいと考えられますので、直近で日本語対応を復活させるのは難しいでしょう。
もしかすると、1年後、2年後なら可能性もゼロではないかもしれませんが、「数ヶ月後に仮想通貨交換事業者として正式な許可を受ける」のは、ほぼ不可能だと思います。
海外の仮想通貨取引所を使うのは危険なのか?
バイナンスに続いてHitBTCも、金融庁から(おそらく)何らかの警告を受けたことを考えると、「やっぱり海外の仮想通貨取引所を使うのは危険なの?」と思う方もいるかもしれません。
ここに関しては、正直、なんとも言えません。
私自身は3月にバイナンスが日本の金融庁から警告を受けた報道を読んで、とりあえず、バイナンスに預けていた仮想通貨をビットフライヤーに移動させました。
でも、その後、2ヶ月半くらい経ちますが、バイナンスが完全に利用できなくなってしまったという話は聞きませんし、金融庁からも特にその後の警告などは発表されていません。
そして、たぶん、普通に今でもバイナンスで仮想通貨を売買している日本人はたくさんいるはずです。
結局、金融庁としては警告は出すものの、強制的にアクセスを禁止したり、強制的に日本人の利用を禁止したりすることはできないのだと思われます。
このため、海外の仮想通貨取引所を使うのは完全に自己責任ですが、危険というほどではないと考えています。
それと、日本の金融庁のこうした警告や規制に対して反感を覚える方もいるかもしれませんが、金融庁は金融庁で消費者保護をしてくれているわけなので、一概に悪者というわけではないと私は思っています。
海外の仮想通貨取引所を使うデメリットとして、利用者保護などが期待できない点が挙げられます。
例えば、コインチェック事件については、みなし業者だったとはいえ、金融庁に届け出を行っている日本の業者であったからこそ、すぐに金融庁が間に入って解決へ向かった部分はあったと思います。
これが海外の仮想通貨取引所で同じ問題が起きたとしたら、日本の金融庁がどこまで消費者との間に入ってくれるかは不明です。(というか、間に入ってくれない、物理的に入れない可能性も全然あると思います)
海外取引所を使うこの辺のデメリットに関しては今に始まった事ではないですが、今回のような突然の利用停止があることを考えると、いきなりのアカウント凍結などの可能性もゼロではないと認識しておいたほうが良いのかもしれません。
それらのデメリットを考慮した上で、それでも投資したい魅力的なコインがあったり、手数料の安さに魅力を感じたりするのであれば、海外取引所を使うのも良いと思います。
ただし、「日本語の操作画面じゃないと、どうしても操作が不安…」、「やっぱり日本の仮想通貨取引所のほうが安心感がある」と思う方は、日本の仮想通貨取引所を使うことをおすすめします。
「海外取引所を使わなければ利益が出ない」ということは全然ないですし、日本で上場されている通貨の中にも将来有望な通貨はたくさんあると思っています。
というか逆に、私なんかは「規制や審査が厳しい日本でも上場できている通貨って、むしろ将来有望なんじゃないか?」とか思ったりもしています。
ということで、海外取引所と比較すれば、日本の取引所は手数料が高めですが、その手数料は日本語対応による操作面での快適さ、金融庁の登録事業者である安心感に支払っていると思えば、決して高くはないと思います。
“安心感”や“信頼性”といった面で言えば bitFlyer(ビットフライヤー)は非常におすすめですし、bitbank(ビットバンク)は手数料ゼロ円で売買できるので海外取引所にも負けないくらいお得な取引所です。
海外取引所を使うリスクやデメリットを許容したくない場合は、日本の取引所で仮想通貨の売買を行っていけば良いと思います。
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